映画「ピンチランナー」公式メイキング・ブック「モーニング娘。を追いかけろ!」
――よろず相談所として地元の高校生に支持されている増田郁恵。高校は中退し、デザイナーになる夢もあきらめ、そして2度の結婚に失敗するという、なんとも挫折だらけの過去を持った26歳の女を演じるのは、メンバーから姉さんと慕われている中澤裕子。待ち時間の長さにもめげず、持ち前のリーダーシップでカメラがオンだろうがオフだろうが、メンバーをコトバではなく瞳で仕切るツワモノ。「やるからにはカッコいいものを作ろう」という信条は、歌も映画も同じ…。
★今回、モーニング娘。の仲間で映画主演を果たし、中澤さん的にはどうでしたか?
最初は映画っていうものにやっぱり抵抗ありましたよね。今まで、自分はドラマなんかを見ている側の人間で、相手がいないところで、思ってもいないセリフを言うなんて、そんな恥ずかしいこととてもできない、って思ってたんですね。じゃあ、なんで歌なら歌えるんだろう…って。ずっとライブと映画ってどう違うんだろうって考えてました。
★どう違いました?
結局、たどりつくところは同じだったんですよ。歌も映画も人に夢を伝えるフィクションっていう意味じゃ、いっしょじゃないですか?「この恋がうまく行きますように」って気持ちを込めながら歌うのと、「ピンチランナー」という作品を通して、観てる人を元気づけたいっていう気持ちは変わらないんじゃないかなって。
★実際に郁恵を演じてみてどうでした?
う〜ん…。精神との闘いでしたね。過去を背負った女で、ハマリ役とかって言われてましたけど(笑)、あれは増田郁恵であって、中澤裕子ではないわけで。役になりきって演技できるまでの心の葛藤とかね。でも、撮影を重ねるうちにやっぱり自分にしかできない役なんだって実感しましたよ。
――それってどういうところ?
私ってどっちかっていうと、自分から先切って「やるぞ!」っていうタイプじゃないんですね。何かポイント、ポイントで意見を言う。それって郁恵と同じなんです。一歩ひいたスタンスでまわりに気を配っていたいっていう。
★心の葛藤のほかに、大変だった点は?
歌いたくっても笑いたくっても泣かなくちゃいけないってところ。俳優さんっていう仕事ってホント大変なんだってことが分かりました。でも、そんなふうに思いながらも、結局やってしまっている自分が不思議。すごい貴重な経験だな、と。あと、これは他のメンバーに言ったら怒られるかもしれないんだけど…、郁恵って走るシーンの撮影がないから、待ち時間が長くて大変でした(笑)。
★待ち時間には何をしてました?
台本読んだり、寝たり…。あ、でも最近iモード買ったんですよ。それで、友達から来たメールをチェックしたり、返事を書いたりしてるとあっという間に時間がたってて(笑)。結構いいヒマつぶしになってます。
★撮影現場で、メンバー同士のメールのやりとりも流行ってたみたいですね。
寝る直前まで矢口なんかは、メールや携帯やらかけてくるからね。「今、メル友と電話しててえ〜」とかって、矢口なりのギャルまねで始まるんだけど、「もう寝るし。うるさい」って言って切るの(笑)。
★うわっ、まるで姉妹さながら!?
だけど今回も、本当にあのコらようやってると思う。絶対にネをあげへんしね。水浸しの撮影があったり、走ったこともないような距離を駅伝で走ったり。今までにも増してすごいこいつらカッコいいわって。
★中澤さん自身はどうですか?
仕上がったときにどう思うかは分からないけれど、気合いはむちゃくちゃ入ってますよ、1シーン、1シーン。でもNGもあった。フリマのシーンで、「みんな、お茶飲んでいかない?」っていう郁恵のセリフがあるんだけど、私的にはすごい気持ちを入れてるつもりなのに、安倍が爆笑するんですよ。それで、みんなもつられてツボに入りまくり。
★7人全員がお腹かかえてる瞬間、たくさんありましたねえ…(笑)。
やっぱり7人そろっていると元気が出ますよね。私、いまだにコンサートが始まる前は、逃げて帰りたいって強烈に思ってるんです、じつは。一人だと気ぃちっちゃいんだけど、メンバーがいるから、いっちょやるか!って舞台に飛び出せてるんですね。
★知られざるバックステージ!
そうそう(笑)。自分が観る側にいたとき、やっぱりコンサートにしても映画にしても、前々からチケットを買って心待ちにしていたんですね。好きなアーティストのライブだったら、SEが流れたとたん歓声を上げていた自分がいて。あの頃の自分を思い出すと、やっぱりお芝居も歌も期待して観にきてくれる人にこたえなくちゃって思う。いろんな意味で、もう自分は客席側にいないんだなって思いますね。小さい子が私を見かけて「もーむす。のなかざわだ!」って叫ぶんですよ。そんあんふうに覚えられるまでになったんだって、この頃ようやく感じるようになって素直にうれしい。
★今後はどうなっていくと思う?
26年の夢である、武道館ライブが終わったあとに、また次の目標が見えていると思う。デビューしてからは、自分でも予想不可能な運命をたどってきて、歌手になるのも映画に出るのも、まして武道館ライブが実現するなんて思ってもみなかった。いまだにトップアイドルとかって言われるとコワイし。
★着々と夢をかなえているわけですね?
ある意味そうですよね。モーニング娘。に入ってからは中澤裕子にしか歩けない道を歩いている。仕事が私の全てじゃないけど、限りなく全てに近いですね。だから一瞬一瞬を精一杯、やるだけです。
「ね、あんた達、お茶飲んでいかない?」――郁恵
「子供にもーむす。のなかざわだって言われるとうれしくて」――中澤